ブリケット薪とは

ブリケット薪とは、おがくずを高温高圧縮して製造した薪で、今注目を集める木質バイオマス燃料です。木質バイオマスといえばペレットがよく知られています。しかしペレットは専用のストーブやボイラーに用途が限られています。

ブリケット薪は通常の薪と同じように、薪ストーブ、薪ボイラー、アウトドアやキャンプでのたき火、災害用の備蓄燃料などさまざまに使えます。多彩なメリットを持つ、これからの時代の木質バイオマス燃料として期待されています。

ブリケット薪の特徴

  • 含水率が低いのでスムーズに燃える
  • 薬剤などを一切使わない100%木質原料
  • 火力や燃焼時間が安定している
  • コンパクトでサイズが統一されている
  • 手で簡単に割れるので焚きつけ不要
  • においが少なく害虫発生リスクが低いため室内保管できる
  • 灰の量が少ない
  • 広葉樹、針葉樹を問わず原料にでき、森林資源を有効活用

未来のための
エネルギーライフを
軽井沢から

軽井沢ファイヤーウッド 代表取締役
土屋和久

当社は、私の父の代から設備業として軽井沢で事業を展開してきました。今回、「未来の子どもたちのため」 になり、なおかつ 「いらないものを使えるものに」 できる事業を新しく手がけたいと調べる中で、ブリケット薪にたどり着きました。軽井沢町では初の試みです。

木質バイオマス生産を手がける人は、全国でもまだ多くはありません。この事業を立ち上げるのに、遠くは九州や北海道から“先輩”たちが手弁当で集まって力を貸してくれました。「自分たちが来てプラントが稼働できなかったら恥ずかしい。だから一生懸命やるよ」 という熱い思いを持っている人たちが、“未来のためのエネルギー”を日本に普及させたいと、日夜奮闘しています。

木質バイオマスは国をあげて推進していますし、長野県内でも坂城町のように町役場庁舎の暖房として木質バイオマスボイラーを導入している自治体はあります。いずれは軽井沢町や町内のホテルなどとも協力して、軽井沢をブリケット薪が当たり前に使われる脱・化石燃料の先進地にしていきたいですね。

軽井沢ブリケット薪

一般的なブリケット薪は木材加工で出る端材を原料にしていますが、軽井沢ブリケット薪は軽井沢町内の造園業で出る枝、軽井沢町内をはじめ長野県内の間伐材などを原料にしています。造園業では、多いところで年間700万円もの処分費をかけて処分しています。お金をかけて処分している“ゴミ”が、ブリケット薪に生まれ変わることで有効活用できる道が拓けました。また、他の自治体では 「一般廃棄物」 というゴミとして扱われる間伐材や枝は、軽井沢町では 「再生資源」 とされチップ化して利用を促進しています。しかしまだまだ利用が追いつかない現状があり、その点でもブリケット薪は大きな可能性を秘めています。

軽井沢は真冬で-10℃以下になる寒冷地で、薪ストーブ愛好家が多い地域です。広大な森林は一見薪の調達に事欠かないように見えますが、日本の林業は戦後急速に衰退しており、木はあれど木材として活用できない深刻な問題が。さらに近年は薪の価格が高騰し、調達が難しくなっている事情も加わっています。薪にならない端材を薪に変えるブリケット薪は、持続可能な薪ストーブライフを支える新たな選択肢になります。

軽井沢ブリケット薪が
できるまで

軽井沢ブリケット薪の原料となる枝や間伐材。
プラント内部には木の香りが漂う

オーストリア製の破砕機。ここに原料となる間伐材や
枝を入れて細かく砕いていく

長さ3~4cmほどに破砕した木片を高温で乾燥させる。
この燃料にも木片と検品ではじかれたブリケット薪が
使われており、無駄がない

圧縮する前の木片は、おがくず状になり砂のように
さらさらしている。この時点で含水率は約10%

最終工程の圧縮機は、ヨーロッパにおける林業の先進国
イタリア製。ずんぐりしたかたち、丸窓、グレーと赤の
カラーリングがどことなく愛らしい

棒状にしっかり圧縮されて1本ずつ出てくる

完成した軽井沢ブリケット薪

木という自然を
感じながらつくる

軽井沢ファイヤーウッド
プラント・マネージャー 井上 修

土屋社長に誘われて、これは面白そうな事業だと将来性を感じて入社しました。木を扱うのは初めてで、チェーンソーの使い方から学びましたね。さらに、製造のための機械は細かな調整が必要です。木は自然のものなので水分量はまちまちですし、その時々で樹種もばらばら。破砕したものを見て乾燥機の温度を調節し、乾燥させた木片を見て圧縮の加減を調節しています。当然、機械のメンテナンスも必要です。他社製品を取り寄せたり、動画やネットを活用したりして、よりよい製品にできるよう研究を続けています。いずれにしても、前職の製造業同様、しっかりした製品をつくることは変わりません。責任感を持って、いいものをつくるだけです。

できあがったブリケット薪は1本ずつ、人の手と目で検品する
軽井沢の一角にたたずむブリケット・プラント。
マネージャーの井上が日々研究を重ねている。